
キリムとはトルコ語で平織りの意味です。
平織りは縦糸に対して横糸を入れてゆく織り方の総称ですが、キリムの場合、縦糸に対して横糸を色ごとに縦糸が見えなくなるまで詰めて織ってゆきます。日本ではこの技法を綴(つづれ)織り、と呼んでいます。厳密には、日本のつづれ織りは絹糸を使った織物の呼び名です。どうやら、昔、農耕民族である我々の生活には羊がいなかったからのようです。パイル織りと呼ばれる絨毯とは違い毛足はありません。
トルコのキリムは、スリット織りとも呼ばれ、糸と糸の折り返しの間をあけます。その為、柄の輪郭がくっきりとし、メリハリがあり、すっきりとした織物に仕上がります。このスリットを日本ではハツリあるいはハツリ目と呼びます。このスリットは光を取り入れる役目も果たしています。間仕切りや壁掛けとして使うと陰影を作り、インテリアとしてもキリムを一層美しく見せ、現代空間にもマッチさせます。
イランではスリットは作らず、横糸同士を掛け合わせるので輪郭がぼやけます。それぞれのキリムを比べて見ると、トルコよりイランの方が幾分丈夫かも知れません。
キリムとはトルコでの呼び名です。キリムの呼び名は地域によって異なります。イランではギリム、アフガニスタンではケリム、カフカス(コーカサス)地方ではバラスなどです。
早くからトルコのキリムがヨーロッパで愛好され、現在では欧米、アジア及び他の国々においてもトルコのキリムが広く愛用されており、トルコの呼び名“キリム”が通称となっています。
これらキリムを織り、用いてきたのは、アフガニスタンなどの東アジア、ウズベキスタン、トルクメニスタンなどの中央アジア、トルコ、イラン、イラクなどの中東、アゼルバイジャン、アルメニア、ダゲスタンなどのカフカス地方、そしてモロッコ、エジプトなどの北アフリカにかかる草原地帯の遊牧民や山岳地帯の牧畜民たちです。
これら広範囲にわたる地域が“平織り”の起源を持つと言われています。
正確にはキリムの誕生、すなわち人々が羊やヤギの毛を刈り、糸を作り、染め、そして織り始めたのが、いつ頃なのか明確な答えはまだ得られておりません。が、紀元前3000年と言う学者もいます。またトルコのアナトリア(アジア側のトルコ)は、“布”が最初に織られた土地だとする学者もいるそうです。古代エジプトで紀元前2000年頃に織られた織物(綴れ織)の断片が、遺跡から発見されています。
トルコで一番古いと言われている現存するキリムは、セルジュク朝トルコの都、コンヤ近郊、ベイシェヒールのエンシュレフォールモスクにある13世紀のものと考えられています。
トルコ遊牧民の間で、“キリム”と言う呼び名が使われるようになったのは14世紀以降のことだそうです。